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オンライン資格確認を導入しています。 感染対策として栃木県がんセンターとの連携のもと院内トリアージを実施しています。 皆様のご理解とご協力をお願い致します。 ・栃木県立がんセンター乳腺外科 ・独協医大乳腺センター ・自治医大・乳腺科 との乳がん地域連携を実施しております。
チャプレン(病院の牧師)として働く、淀川キリスト教病院の藤井理恵さんのお話です。
多発性骨髄腫を発症した61歳のTさんは、揺るぎない価値観をもっていました。
「病気の自分は生きる価値がない」というものです。
病気の自分は何もできない
→生きていると迷惑がかかる
→迷惑がかかる人には生きる価値もない
→自分が死ぬことが誰にとってもいいことだ
彼はそう話し「死ねる薬を1粒置いていってほしい」と自殺をほのめかしました。
このように、どれくらい世の中の役にたつかという「有用性」を重視する人生観は、現代の多くの人がもつ価値基準です。
実際、Tさんは達成感を求めて仕事も転々と変えた人でした。
話しを聞き続けていると、家族と疎遠になったため誰の世話にもなれないという強い孤独感と「本当は意味を見つけて生きたい」という心の叫びが少しずつ聞こえてきました。
Tさんの話しを聴き続けて1ヶ月…「図式」に変化が現れてきました。
「病気もマイナスばかりでもないかもしれない」と治療を開始。
「どんなに死にたいと思っても死ねない。自分を生かしてくれる存在があるのではないか」と話すTさんは話し始めました。
人生を見直していく中で、Tさんはやがて「生かされている」ことを感謝するようになっていきました。
「今が最高に幸せな時間だ」と繰り返し、「恩返ししたい。私にできることはありませんか」と問いかけてきました。
私は「できるできないは要りません。生きてそこにあることが、生きる意味そのものです。最後まで生き抜く姿を見せてください」とお願いしました。
その後、Tさんは珠玉の言葉をたくさん残していってくれました。
「病気になった弱さを知って、見えないものが見えるようになった」
「(死ぬことで)自分を処理するようなことをせず、神にもたれかかって生きればいいと思うようになった」
「生きてやろうと思わなくても、生きている姿が、そのまま誰かの光になったり、道になったりする」
「病気になる前、生きる意味は達成感で、それがなければ死ぬしかないと考えていた。でも生かされていることを知って生きることの価値観が180度変わった。大きな達成感はなくとも感謝して生きることが喜びだと思えるようになった」
Tさんとの関わりは、それからも5年ほど続き、洗礼も受けられました。
院長より〜
病気になっても、決して悪いことばかりではありません。
キャンサーギフトからの慈雨は、より深く人生に染み入り、
人格を陶冶し、必ず大きな実りをもたらしてくれます。
これは多くのサバイバーの方々が「穏やかな笑顔と振る舞い」を通じ、私に教えてくれたことなのです。