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「次回の予約は…あ、もう来年ですね」
「1年は早いですね。今年もうつ病が治らなかったということですね」
「春ころよりかなり良くなってますよ」
「そうでしょうか。来年は仕事に復帰したいなぁ」
「それを目指しましょう」
そんな会話を交わしながらいつも思うのだが、
「精神科に通院している」というのは、
ある人の人生の中で、かなり予想外の出来事のはずだ。
それが1年、2年と続くと、
さらに「こんなはずでは」と気が滅入るだろう。
ただ「年末の今、辛い症状があって病院に通っている」ということは、
「来年は回復している可能性がある」ということでもある。
「来年は今年より良い年になるはずですよ」と確信を持って伝えて、
「先生、ずいぶん自信があるんですね」と笑われることもある。
しかし、私は本気でそう思うのだ。
自分も体調の悪いときや、悲しい出来事があったときは
「今が一番ひどいんだ。これからは良くなっていく一方だ」と自分に言い聞かせる。
もちろん、たまにはさらにひどくなることもないわけではないが、
大抵は後から「確かにあのときが“気分の底”だったな」と思う。
よく「精神科医って暗い話ばかり聞かされて、自分まで暗くならないですか」と質問される。
実はそんなことはない。確かに患者さんの“気分の底”を目の当たりにすることにはなる。
ただそれから、その人がまさに底力を発揮して、少しずつ回復していく様子も見ることになるので、
逆にこちらも励まされたり元気が出たりすることも多いのだ。
昨年一年あまり良いことはなかった、という人もいるだろう。
そういう人は「今が底なのだ」と考えてはどうだろう。
だとしたら、新年になれば心の回復の兆しも見えてきて、良いこともあれこれ起きるはずだ。
そのときには「少しくらい良いことがあっても仕方ない」とは考えず、
「やった!ちゃんと楽しいこともあるじゃない」と大いに喜び、復調をかみしめよう。
悪いことばかりは続かない。
どんな人間にも底力がある。
この2つさえ信じていれば、今年はきっと素敵な年になるはずだ。
診察室で「先生、本当ですか?」と疑う人には、
「今だけは私を信じてください」と言って笑顔でうなずいて見せることにしている。
亀山リカ「ココロの万華鏡」(2018.12.18. 毎日新聞)より
多くの方を診させて頂いておりますと、
あのときは辛かったけれど、
人生投げ出さなくて良かったと思う方に数多くお目にかかります。
そしてそういう方の方が、人間味のある魅力的な人であるようです。
また、辛いこと、大変なことの方が、後になっては良い思い出になるような気がいたします。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。