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岸見一郎先生の「老いた親を愛せますか〜それでも介護はやってくる〜」(2015.12.10.幻冬舎刊)を紹介したいと思います。
この中から、医療従事者に向けた一文が私の心に痛切に沁みました。
私は患者が人生を全うする援助をすることが医師や医療スタッフの重要な仕事だと考えています。
しかし、医療者は「患者が入院する前の社会の中でどんな風に生きてきた人なのか」分からなければ、
このような援助をすることはできません。
患者や家族からすれば、ただ患者として見られたくはありません。
後に父の看護をしていた時、私は父の若い時の写真を見せていました。
父の写真を見せたのは、今どんな状態であっても、父にはそれまで生きてきた長い人生があることを知って欲しいと思ったからです。
(私も父が大学病院に入院していたとき、
医者から患者家族の立場になって、
医療スタッフが、父をただの患者として軽く扱われたことに、
とても嫌な思いを経験したので自身の診療態度を深く自省しました。
父にすればなおさら腹立たしい気持ちだったのでは…)
作家の井上靖は、病室に絨毯を敷き、すわり机を持ち込み、小説を書いていました。
病気を押して原稿を書く井上に、病院の規則に従ってもらわないと困るとは誰も言えなかったでしょう。
英語の「LIFE」には、だた「生命」だけではなく、「生活」さらに「人生」という意味もあります。
だた、生命を回復させることが医療者の仕事ではないでしょう。
それどころか、回復しない人もいるのです。(うちの父はまさにそうでした)
たとえ、死が間近に迫っていても、その状況で自分らしく生きられたらと思います。
私は幸い(心筋梗塞から)生還することができましたが、
医師や看護師をはじめとする病院のスタッフが、ただ私を治療の必要な患者としてだけ見ないで、
一人の人間として接してもらえたことをありがたく思い出します。
<ただ患者としてだけ 見られたくない。
それまで生きてきた人生があるのだから>
との言葉が胸にしみました。
このような、患者さんやご家族の心情を心して診療に当たれたらきっと良い医師になれるはずと思いました。
他にも、認知症の親御さんを見ている方の参考になる文章が沢山散りばめられています。
折に触れてまたご紹介したいと思います。
大勢の方のご来院いつもありがとうございます。
<参考文献>
岸見一郎(2015)『老いた親を愛せますか?—それでも介護はやってくる』幻冬舎.