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2016年6月27日
進行・再発がんでもあきらめない(2)
進行・再発がんでもあきらめない(2)
<和田医師の治療ストラテジーとは…>
腫瘍マーカー:がんの勢いを知る
CRP 値:炎症の度合い
白血球に占めるリンパ球の割合:免疫力
尿PH値:細胞環境の酸性度
血糖値:ブドウ糖の多寡
アルブミン値:栄養状態
などを監視しつつ、
食生活の改善を中心に治療メニューを提示、実践するというものです。

<食生活の改善を中心に>
35歳 乳ガン術後 2年後肝転移のケース(2015年8月)
この患者さんには、甘いもの(チョコ)と乳製品(ヨーグルト)を大量摂取していたため、
直ちにそれらの摂取をやめさせるとともに、食生活全般の改善を指導したそうです。
すると、2ヶ月後に腫瘍マーカーCEA(<5.0):7.5→1.0 へ下がったそうです。
さらにリンパ球などの免疫の数値が改善されなかったので、
抗がん剤治療をやめさせたところ、
CTやPET画像上からも肝転移の陰影が消失し現在も再発層が現れることはなく、
患者さんはお元気だそうです。

他にも…
乳がんの手術から8年後に肺転移が見つかり抗がん剤の治療に耐え切れず
歩くのもやっとの状態だった患者さんが
食生活の改善だけで、再発から6年後の現在も元気にされているそうです。

さらに…
乳がん、子宮がん、肺がんと別々のがんに連続して見舞われた重複がんの患者さんも、
来院後は食生活の改善以外何もしていないのに、
新たながんにかかったり、がんが再発したりしていないそうです。
(思っているよりはるかに食事療法は大切なのでは…)

圧倒的大多数のがん治療医は、手術で臓器をこっそり取り除いたり、
抗がん剤や放射線でひたすらがんを叩こうとします。
しかし、患者は手術の後遺症、抗がん剤や放射線の副作用に苦しめられたあげく、
次々と亡くなっていきます。
(過剰治療の可能性があり、却って免疫力を落としてしまうのでは…)
それでも治療法を改めないのは、がん治療医の怠慢と傲慢だと手厳しく指摘します。

がん治療医には、少なくとも「劇的寛解例に学ぶ」
すなわち「患者に学ぶ」という謙虚さを持ってもらいたい
、と語っています。

<自らもがんを体験>
和田医師自身、退官後にステージ1だがスキルス性胃がんの手術を受けています。
手術以外にやったことは、
がんが活動しにくい食生活に変えること、免疫賦活剤のレンチナンを注射すること、
経口抗がん剤のTS-1をたまに(ガン専門医ナノ二ココがミソか)少量服用すること、
この3つだけです。

ただ、レンチナンとTS-1は、オマケのようなもので、
私が本質的に重視していたのは「食生活の改善!」と語っています


<治癒への方程式を5つのファクターに整理>
これまでの臨床経験や論文研究などから、
和田医師は「がんは生活習慣病である」なかんずく、食生活に起因すると考えているといいます。

劇的寛解例を分析、研究した結果、がんを制御する体内の微細環境の良し悪しは
「5つのファクター」に整理できるといいます。
1 ナトリウム(塩分)
2 ブドウ糖 (糖分)
3 乳製品に含まれるIGF-1 (インスリン様成長因子)
4 脂肪酸
5 NF-κB (炎症に関与)

塩分を摂りすぎると細胞内外で交換する形でプロトン(乳酸などの酸)を排出し体内の微細環境が酸性に傾いてしまい、
がんが増殖しやすい条件を作り出してしまうといいます。
また、がんはブドウ糖輸送器が正常細胞の10倍以上も存在し、がんはブドウ糖を増殖のエネルギー源にしているということです。
がん診断のPET検査は、がんがブドウ糖を正常より多く取り込む性質を逆に利用したものです。

ブドウ糖などの甘いものの他、血糖値を急上昇させる白米などの大量摂取は、がんには禁忌で
糖の吸収の穏やかな玄米などを勧めているそうです。(渡辺昌先生の「玄米食のエビデンス」という本もあります)

IGF-1は、牛乳をはじめとする乳製品に大量に含まれており、
IGF-1は強力な成長促進物質でがん細胞の発生や増殖にも同じ作用を示します

(ジェーン・プラント著「牛乳と乳がん」に詳しい)

クリニックにやってくる女性の患者さんに問診を行うと、
今指摘した甘いものを含め乳製品を大量にせっ摂取している患者さんが驚くほど多い!
したがってクリニックに来る患者さんには、甘いものと乳製品を直ちに中止するように指導しているそうです


脂肪酸は、がんが分裂増殖する際の細胞膜の原料になります。
そしてがん細胞は、必要な脂肪酸の9割を自前で合成することができるそうです。
この脂肪酸合成酵素を梅などの果物類が働きを抑えるそうです(トリテルペノイドという物質らしい)。
このような理由から食事の際に果物を多く取るように指導しているそうです。

NF-κBは、がん細胞周囲の炎症を発生促進させる物質で、
炎症があるとがんが発生・増殖しやすくなることがわかっています(慢性炎症)。
特に肥満は慢性炎症を引き起こすことがわかってきました。
慢性炎症を抑制するために、パルテノライドという成分がハーブの1種ー夏白菊に含まれることがわかり
希望患者には処方することもあるといいます。

その他、免疫賦活剤「レンチナン」「丸山ワクチン」などを勧めることもありますが、
和田医師は、このような特別なことをしなくとも、
普段の食事で免疫力を上げることができるといいます。

<抗がん剤はがんを強くする!?>
和田医師は、経口抗がん剤UFTの開発にも携わったそうですが、
抗がん剤については次のように語っています。

抗がん剤は、がんに耐性を与え、白血球を破壊して免疫力も下げてしまいます。
とどのつまりは、がんの発生や増殖を抑制しているのは免疫であり、
食事などによって体内環境を改善しようと考えたのも、それが免疫力の向上につながると考えたからです。
したがって、抗がん剤治療はがんを強くする、矛盾した治療である、というのが私の基本的な考え方です。


今は患者が使用を強く希望する場合や、食事療法だけではがんの勢いを止められない場合などに、
ごく少量の経口抗がん剤を一時的に処方することがあります。

食生活の改善などによって細胞の微細環境を変えれば全て解決するのか、
と言われれば、それほど生易しい問題ではないことも事実です。
実際、私のクリニックでも劇的寛解を示す患者さんがいる一方で、
薬石効なく亡くなっていく患者さんもまた少なくありません。


しかし亡くなるまでの患者さんの生活の質は、
標準治療を選択した場合よりはるかに良好であり、
方向性はそれほど間違っていないと、私は感じています。
(冷静かつ謙虚なご姿勢を感じます)

<鳥越俊太郎さんの闘病姿勢>
今ではすっかり有名になりましたが、
65歳の時に大腸がんを発見され、
その後4回もの手術を経験し現在も精力的に仕事をこなされています。

その鳥越さんも、免疫力が大切と語っています。
手術の他にも、漢方の生薬を医者に黙って、抗がん剤と併用して飲んでいたといいます。
今こうしてあるのは抗がん剤が良かったのか、漢方薬が効いたのか自分でもわからないと仰っています。

可能性を信じていろいろ試してみることも必要だといいます。
特に免疫力を高めるものはいいと思います、と語っています。

同じ状態のがん細胞でも、ここの免疫力の強弱によってその後の進行具合が違ってくるともいっています。
免疫力を高める方法として、特定なものをあげるのではなく、
何か目標を持つということも大切ではないでしょうか。
明るく、前向きの考えで、山を登るとかマラソンを走るとか、何でもいいと思います。
目標を持つと免疫力も上がりますから。

それと全てをお医者さん任せではなく、
ご自身でも勉強して自分で考えることも必要ではないでしょうか。

西洋医学は確かに素晴らしいものがありますが、西洋医学だけが全てではない、ということも事実ですから。

病気をされてから健康についての考え方も変わったといいます。

以前は深酒もしたし、徹夜で仕事もしましたが
がんを経験して、初めて自分の命とか体の健康を考えるようになったといいます。
その結果、健康には、当たり前のようですが、食事、睡眠、運動、この3つが大切であることに行き着いたそうです。

具体的には、
食事面では、「糖質制限」。テレビで見て”これは!”と思い始めたそうです。
以前と比べると炭水化物の量を大幅に減らしています。
しかも1日2食にしました。
朝食はバナナ半分にヨーグルト、オリーブ油をつけたライ麦パン1枚、砂糖なしの紅茶。
昼は食べずに、夜はアスパラ、ブロッコリー、菠薐草などの野菜に豚肉、お刺身など。

週3回ジムに通い筋トレ、夜は11時〜12時頃には寝てしまうそうです。

鳥越さんは、以前のがんになる以前より、がんになった今の方が、一番人生の中で健康といいます。

<インチョーより>
和田医師は、京都大学病院のがんの臨床を経験されてきた重鎮であり、
このような方の発信は医学会に与える影響も大きいと思います。
患者さんの立場に立って、真摯に、真実に向き合おうという姿勢に共感しました。

鳥越さんには私もお会いしたことがありますが、
非常に謙虚な方で、良いものは今までの自分の考えと違ってもこだわりを捨て、
真摯に取り入れていこうという姿勢を感じました。
また、ジャーナリストとして、自ら真実を体験し、伝えたいとの情熱溢れる方でした。
素晴らしい方だと思います。


参考文献:
和田洋巳(2016)「がん劇的寛解例に学べ」,『文藝春秋』 2016年6月号,p.310-312,文藝春秋
鳥越俊太郎氏・小島咲久良氏(がん健康サポート協会代表理事)の対談「がんは、治る時代」,『朝日新聞広告』2016年6月