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オンライン資格確認を導入しています。 感染対策として栃木県がんセンターとの連携のもと院内トリアージを実施しています。 皆様のご理解とご協力をお願い致します。 ・栃木県立がんセンター乳腺外科 ・独協医大乳腺センター ・自治医大・乳腺科 との乳がん地域連携を実施しております。
先日の新聞に、以下のような記事(抜粋)が載っておりました。
がん患者さんが信頼出来るアンカー(錨)となれるよう日々勉強し、
信頼ある情報を発信していきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
〜毎日新聞・オピニオン・記者の目生活報道部・三輪晴美記者の記事から〜
がん患者が安心して治療を受け、自分らしく生きるために必要なことは何か。
改めて思うのは、がん患者にとってまず必要なのが「医師とのより良い関係」ということだ。
連載のはじめに、関西在住で60歳代の玲子さん(仮名)の体験を取り上げた。
玲子さんは、公立病院で初期の乳がんと診断され、ほとんど説明もないまま手術の日を指定された。
玲子さんは戸惑い、夫も手術に反対で、迷いを深めた。
悩んだ結果、医師に手術しないと告げると、
「今後乳がんに関して当院では一切の診察を受けない」という同意書にサインさせられた。
記事は反響を呼び、読者から様々な意見が寄せられた。
玲子さんの心情を慮る声のある一方、
訴訟時代で同意書をとるのは医療サイドとして当然」という声もあった。
患者はある日突然、がんを告知される。
私自身が7年半前、骨転移を伴う乳がんと診断された。その瞬間、暗闇の中に一人投げ出された気分になった。
目の前に広がるのは暗くて深い闇だ。
そこで手を引いて欲しいのは、やはり「命」を託す医師なのだ。
私は幸い、早い段階で信頼できる医師に出会えた。
実家のある関西に帰り、車椅子で初めて診察室に入った時、何度も「大丈夫やで」と言ってくれた。
本当は大丈夫でなかったのかもしれないが、張り詰めていた気持ちが一気にほぐれた。
抗がん剤治療を経て今はもと通りの生活を送っているが、治療が奏功せず命が尽きていたとしても主治医に感謝していただろう。
そう思うのは、最後まで伴走してくれるだろうという主治医への信頼感ゆえだ。
医師とのコミュニケーションに悩む患者は多い。
昨今の「医療不信」も両者の間に溝を作る。
医療否定本などに感化されて治療に否定的な患者も少なくなく、医師は説得にエネルギーを取られる。
一昨年、ネットで「ある医療機関が抗がん剤の使用禁止を決めた」という情報が流れた。
発信源のブログ主に取材をして私の病歴を明かすと、
相手は「自分は抗がん剤に詳しくないが、とにかく反対だ」といい、情報源も明らかにしなかった。
無責任な発信と言わざるを得ない。患者はただ惑わされるだけだ。
このようなデマが流れるのも、がんは未だ完治が難しい病気だからだ。
「がんの解明にはまだ遠い。医師は偉そうにしてはいけない」。
そう話すのは三井記念病院(東京都千代田区)の高本眞一院長だ。
高本さんは妻を乳がんで亡くして初めて、患者の立場が分かったという。
「共に生きる。患者と医師の関係はそれしかない」
がんは部位によって、個人によって、進行も治療の効果も違う。
だがら医師は、データに基づいた症例ごとの「標準治療」をベースにしながらも、
一人一人の患者と向き合い最善の治療を探らなければならない。
また患者も「医療は不確実」で、治療がうまくいかない場合もあることを理解する必要があるだろう。
がんが転移や再発をすれば治癒は難しい。そうなれば抗がん剤を使って癌と共存することが治療の目的となる。
しかし人によって、薬によっては副作用が強く出ることがある。
その場合、辛くても頑張って抗がん剤治療を続けるか、
あるいは休薬して限られた時間を思い通りに過ごすか。
患者の価値観を軸に、医師と患者が共に道を定めなければならない。
そのためにも、患者と医師は常に本音で話し合える関係でなければならないと思う。
患者が抱えるのは体の不安や痛みに加え、生活上の問題や精神的な悩みなど幅広い。
主治医はそれを受け止め、適切な専門家につなげてほしい。
病院には医師だけでなく、ソーシャルワーカーをはじめ様々に手を差し伸べてくれるスタッフがいるはずだ。
患者も、より正しい情報を得るために自ら勉強し、患者会などで仲間とつながることも大事だ。
主治医と信頼関係が結べなければ転院することを考えてもいい。
今の時代、セカンドオピニオンで別の医師の意見を聞くこともためらう必要はない。
治療法が進歩してきたとはいえ、患者の半分近くはいずれがんで命を落とす進行癌である私にも、いつその日が来るかわからない。
しかし日々を大切に積み重ね、周囲の人に感謝しながら旅立つことができれば、悪くない人生だったと言えると思う。
一人でも多くのがん患者がそうであってほしい。
そのために社会はどうあるべきか。今後も取材を続けたい。(2016・5・18)
<院長より>
悩んでいる患者さんにとって、
ともに生きる医師がどれほどの存在かー
心して診療に当たりたいと思います。
いつも沢山の方のご来院誠にありがとうございます。
≪引用文献≫
毎日新聞「記者の目『がん社会はどこへ』連載を終えて=三輪晴美(生活報道部)」2016年5月18日付東京朝刊
URL:http://mainichi.jp/articles/20160518/ddm/005/070/017000c